2022年
01月
11日
(火)
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TSさん
スクールに来て最初の作品ですので、
例によって、二点透視を理解するためのモチーフです。
対面率と面密度の連関の理論に基づいて線とその方向を適切に用いることが出来ているので、構造が大変しっかりと描けています。
自分のアイレベルを意識しつつ、
当スクールの研究所が製品化したT字線プレートや透視枠を用いて、
客観的なデータを基に描くとこのように、
「世界は透視図法的に現象している」ということが分かります。(*)
たとえ多少時間が掛かっても、
こうした基本を深く理解しておくことが良い絵を確実に描けるようになるためにとても大切です。
しかしながら、こうしたことを明晰な理論とともに伝えてくれている教室や大学をはじめとする学校は、多くない気がします。
「大胆なデフォルメがいいね」とか「芸術は爆発だ!」といったスタンスの指導者がこの国の美術の指導者に多すぎるのが原因かもしれません。
羽生結弦さんの言葉です。当時23歳ですが、世界一になった人の言葉は明快です。
「もし、羽生結弦が4回転半、5回転を入れた場合は、それを確実に表現の一部にします。・・・(中略)・・・難易度と芸術のバランスは、本当は無いんじゃないかなと思います。芸術は、絶対的な技術に基づいたものであると僕は思っています。」
(2018年2月27日/日本記者クラブの会見での発言)
(*)透視図法的ではありますが、厳密には完全ではありません。
実際には世界はむしろ曲線遠近法的に現象しているため、この世界を全く歪みなく描くには、支持体(画用紙やカンヴァス等)が自分の網膜からどの場所も等距離である必要があります。それは例えば緩やかに凹んだ大きなお皿のような曲面のイメージであり、大きな風船の内側の中心から見た風船の内面のようなイメージです。
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